本、絵画、映画と戯れる日々を

本や映画など何かしら作品の感想を書いていきます。

【美術館巡り】東京編 ルドン展

ルドン ―秘密の花園

始めに

ブリューゲル展を後にして、次に向かったのがルドン展です。上野駅から、東京駅へ移動して、三菱一号館美術館へ行きました。東京駅から歩いて5分くらいでしたね。駅から近いと楽でいいですね。

そんな話はさておき、この美術館は生まれて初めてでした。といっても、美術館に足しげく通っていたことはないので、大概どこへ行っても初めてなわけですが、今回みたいに美術館へ行くことで少しずついろんな美術館に行ってみたいなと思っています!

ルドン

ルドンについて、僕が知っている範囲で書いてみたいと思います。

僕が驚いたのは、ルドンはモネと同じ年に生まれていることです!フランスのボルドーという地域で生まれたということです。フランスの南西部にあって、パリからはかなり離れているみたいです。

幻想的な作品を多く描いていて、作風はモネとは正反対なんだなと感じました。ただ、どちらも見る眼が大切だということは一致していたはずです。

この偉大な二人に限った話ではなく、そして画家に限らず、生きる上で何かを成し遂げるには眼が大事なんだと思います。

ルドンは次のような言葉を残しているくらいです。

精神を養い、魂を養う養分を吸い取るためには、眼が欠くべからざるものだ。

眼を持っていない者、見る能力、正しく見る能力をある程度持っていない者には、不完全な知性しかないだろう。

ーオルディン・ルドン『私自身に』より

上記を『もっと知りたい ルドン 生涯と作品』より引用

 

ルドンについて考えたこと

上記にあるようなルドンの精神は作品にも表れていて、眼を描いた作品が多いのです。それはきっと、ルドンが本質を捉えようとしていたんだなと僕は感じました。

ルドンは、「作品をみてそこから感じることは人それぞれ違うはずだ」というようなことも言っていた、と作品展の中で説明がありました。

それがためか、何をモチーフに描いたか明らかにすることも少なかったそうです。確かに作品を見ていても正直何を描いているのか私には全然分かりませんでした。

ただし、眼を描いていたということは、何か見たかったに違いないと僕は思います。

それが、本質だろうというわけです。

本質って何かというと、何かが起こるとしましょう。喧嘩でも、結婚でも、花が咲いて枯れるというのでもよいでしょう。それがなぜ起こるのか、根本的な原因はどこにあるのか探る行為が本質を見抜くということになりそうです。

辞書で調べると、

物事の根本的な性質

デジタル大辞泉より

とありました。

ルドンはこれを画家という視点から捉えるという方法を取ったのでしょう。

そして、画家のなかでも、モネのように、現実の風景から本質を捉えるということではなく、現実から想像を通して幻想的な世界でそれを表現するという方法をとったというわけです。

表現する側としてはどちらも一筋縄ではいかないことでしょうが、作品を見る側からすると、二人の作品を見る際に感じる、考えることの違いは顕著になります。一般論ではなく、僕だったらという話です。

先ほども書きましたがやっぱり、ルドンの作品は何を描いているのか全く分からないです。モネの作品は、どういう風に描いたか技術的なことは分からないにしても、現実の風景を描いているので、何を描いているかはある程度分かると思います。

ということは、楽しみ方にも違いが出てきて、モネの作品は、こういう風景を描いたんだな、どうやって描いたんだろう、モネにはどう見えていたのだろうと考えることが楽しいです。もしくは、ただただ心が和むなぁというだけでも僕は十分です。

一方で、ルドンの作品は何を描いているか分からないから、それを考えるところが僕が考える一番の魅力です。僕はルドンの研究をしているわけではないので、自分なりに解釈できれば、それでよいと思っています。こちらは作品を眺めて和むというよりかは、考えることの快楽を味わえると思います。脳が汗をかくという表現が合うかな。

 

モネとルドンの対比で書いてきましたが、こんなに作風の異なる画家が同じ時期に活躍していることをしって初めは驚きました。よく考えてみれば、いろんな作風の人がいることは当たり前というか、そのほうが自然ですね。

違う作風でも、その人の原動力が同じというのもこれまた面白いなぁと思います。僕は、二人とも描くものがあって、その本質を捉えようとした結果が作品となって表れているのだと考えています。

この辺をもっと味わいたいなと思う展示でした。

最後に

これを最後に書くというのもおかしな話かもしれませんが、ルドンの青色は人を惹きつけるなという感じが印象に残っています。人物画で背景が青だと幻想的な感じになるんですかね。

ルドン、引用に挙げたように『私自身に』という著作があるようですね。今度読んでみようかと思います。