本と物理と戯れる

本の感想、物理、その他という感じで書いていきます。どうぞ、よろしくお願いします。

『言の葉の庭』を観て (ネタバレあり)

ネタバレがっつりの記事です。未視聴の方でネタバレしたくない方は気をつけてくださいね。

 

簡単に人物紹介

メインキャラクターは二人だけ。主人公のタカオ、高校一年生男子。靴職人を目指している。もう一人は27才の女性、ユキノ。仕事に行かず新宿御苑で午前中からビールを飲んでいる。

タカオは雨の日の午前中は学校をサボり新宿御苑に行くことにしていた。ユキノはどうやら雨の日に限らず新宿御苑にいるようだ。後半にタカオの学校の先生だったとわかった時は、まさかと思った。学校の先生を知らないなんて、しかも27才の若い先生を知らないなんて、男子高校生にそんなことってあるのか...

しかし、二人を近づけようとしたらそういう設定くらいしかないのかもしれない。いや、短歌が登場したことを考えると、短歌を空でスラスラ言える人は古典の先生くらいだろう。だから先生だったのかもしれない。短歌が出てきたのは良かった。ただ見て楽しむだけでなく、その短歌を使った理由、その短歌の意味、どんな時に作られたのかなどを考えることができる。短歌がこの作品に深みを与えていると思う。

 

ストーリーは、終始落ち着いた状態で進む。少しずつ二人の事情や素性を明らかにしながらテンポよく進んでいき、45分で終わるというコンパクトにまとまっている。もっと詳細なストーリーを作るのもありかとは思うが、この作品はさっぱりしている方が良いというのが個人的な感想だ。

 

さて、映像について少しだけ。

映像が美しいという評判は期待通りだった。雨の中の緑が映える新宿御苑を中心に綺麗な映像が続いていて飽きずに観ることができた。緑を中心とした映像が心を落ち着かせるのかなと感じる。

 

この二人が新宿御苑の東屋にいるシーンが物語の中心であるわけだが、映像の美しさがその東屋を「二人だけの世界」にしている。雨が周りの世界から遮断された二人だけの世界を作り出していて、周りの緑が爽やかで優しい雰囲気を醸し出していると感じた。

 

ここからは作品から考えてみたことを書いてみた。

映像を観ると、確かに雨と緑の組み合わせは綺麗である。ここで現実でもそう思えるかどうかが、私の中では感性を磨いているかどうかだと思っている。現実的に考えて気分は落ち込むし、綺麗なわけないと思ってしまう。そもそもわざわざ雨の日にわざわざ周りの景色を見ようとは思わないことが多いのだが...

しかし、それはきっと悪い部分しか汲み取っていなくて、このアニメの映像のようには見えないかもしれないが、雨だから感じる風、音、景色があるはずだ。純粋にそれに目を、耳を傾けると、そこに何かが見えてくる。それを言葉にすれば詩ができるし、映像にすればアニメができる。音にすれば音楽ができる。もちろん、いうだけならば簡単でそんなことはなかなかできないが、それでも出発点はそこにあると思う。ただただ純粋な気持ちで目の前の景色を見れるか。これだ。

美しい景色を映像でどう表すかを突き詰めた末にこの作品ができたのかな〜なんて考えていると、近所を歩いているだけでも目の前に広がる景色はいつもより少し新鮮に思える。