【物理】同種粒子の不可弁別性について
こんにちは。
今日は、統計力学や量子力学で、ボーズ・アインシュタイン粒子、フェルミ・ディラック粒子を導入する前によく出てくる、同種粒子の不可弁別性について、少し整理したいと思います。
不可弁別性という言葉ですが、簡単に言うと「見分けられない」ということです。
このことを考えていきたいですが、その前に見分けられるとはどういうことか考えてみましょう。
まずは、簡単な状況を設定しておきます。
ボールを考えてもらえればいいですが、全く同じものを2つ用意して、一方は右から、他方は左から飛んできて、ある時に衝突するという状況を考えましょう。
この時に右、及び左から来たボールがどっちへ行ったか見分けることができますよね。(見分けられるくらいのスピードで衝突したと考えてください。)
ここからが重要なことになりますが、この二つのボールを入れ替えても状況が全く変わらないことが分かります。二つのボールは全く同じなので、異なる運動にはなりません。
色のついたボールを考えるとわかりやすいかもしれません。赤のボールと青のボールを考えると、2つのボールを入れ替えた時に、さっきは赤のボールが右から飛んできたのに、今度は左から飛んできたとなります。これは違う運動だとみなすことにします。しかし、両方とも赤のボールならば、たとえ入れ替えても右からも左からも赤のボールが飛んでくるし、運動の状況は変わりません。
これが入れ替えた時に運動が変わる、変わらないという意味です。例えに習うと、今は色が同じボールの衝突を考えていることになります。
以上は古典的な状態に対応します。
同じようなことを量子力学に従う粒子で考えてみましょう。
先に重要なポイントを書いておきましょう。
同種粒子の区別がつかないということをいうために、重要なポイントが2つあります。
一つは、波動性です。量子力学では粒子が粒子的な性質と波動的な性質の両方を持ちます。
もう一つは、不確定性関係です。これは、粒子の位置と運動量を同時に決めることはできないということを言っています。
さて、粒子の衝突を考えたいですが、波動性を持つので、波の衝突を考えます。衝突した後の波は、衝突前のどちらの波だったかはわかりません。また、ここでも波を入れ替えた時に運動は変わらないということが言えます。
ただし、今回は古典的な場合と違って、衝突後のものが衝突前のどちらだったかわからないという問題があります。これは、言ってしまえば、粒子が追跡可能かどうかいうことです。古典的な場合は、直感通り追跡が可能ですよね。しかし、波が衝突前後でどちらがどっちへ行ったか分からないということは追跡が不可能だというわけです。さらに考えると、波束がとても短くて粒子の位置はよくわかると考えたしても、不確定性関係から運動量が無限大に近づいてしまいます。これはある瞬間にある場所にいた粒子は、次の瞬間どこへいくかわからないと言っています。これでは追跡不可能です。
(補足をすると、フェルミ粒子は同じ状態を占めることはできないので、波動関数の重ね合わせが一致するようなことすら本当ならばなくて、波が衝突して、そのあとに~みたいな話にはならないので、今まで話してきた例はあくまでイメージでしかない)
一番言いたいことは、同種粒子の不可弁別性に重要なことは、
粒子の波動性と不確定性関係にある
ということです。そして、見分けがつくつかないというのは、
言い換えると、まずは粒子を入れ替えた時に状態が変わらないということ、
これだけだと古典的な場合も見分けがつかないと言えてしまうが、
さらに言うと粒子が追跡可能かどうかが決め手になるということです。
そして、量子力学では実際に見分けがつかないので、面白い話に繋がっているというわけです。
以上で終わりますが、やはり説明するのって難しいと感じました。回りくどくなってしまった感じがしまい、申し訳ないです。
自分の頭の整理をするのか、どのレベルの人に説明するのかということをもう一度考えて、物理の記事を書くようにしたいと思います。