【物理】量子統計 状態密度について
こんにちは
今日は、状態密度とは何なのか、自分の言葉でまとめてみたいと思います。
定義は単純です。
一粒子エネルギーが微小なエネルギー幅の間にある一粒子状態の数
です。
当たり前のことなのかもしれませんが、状態の数であって、粒子の数ではないので注意が必要です。一つの状態にいくつの粒子が入りうるか、はまた別の話です。
数式で表すと、基底エネルギーを0とすると、一粒子エネルギーが0~εまでにある粒子の状態数をN(ε)とすると、(ここもNは状態数の数で粒子数ではないので注意!)
(N(ε)を積分状態密度ということもあるようです。)
D(ε) = (N(ε+dε) - N(ε)) / dε と書けます。
これは、微分の定義式と同じ形をしていますね。
イメージしやすいので3次元のエネルギー空間で(軸をεx,εy,εzとする空間を考えるということ)、半径εの球の内側に存在する一粒子状態数を考えてみましょう。
D(ε)というのは、エネルギーεを微小に変化させたときに、変化させる前と後で、球の内側に存在する一粒子状態の数がどれくらい変わったのかを表しているわけです。
D(ε)が大きいということは、状態が密に詰まっているというイメージができて、少しエネルギーが大きくなっただけで多くの新しい状態を取ることができるようになると考えられそうです。
逆にD(ε)が小さいということは、エネルギーを少し変化させたくらいでは新たに取りうる状態は少ないよと考えられます。
僕にとっては、粒子数を状態密度を使って表すのも、状態密度のイメージをつかむ良い例だと思います。むしろ、例どころか本質的な部分だと思いますが。
ややこしいかもしれませんが、粒子数をNとさせてください。積分状態密度はN(ε)と(ε)を付けます。ついていなかったら粒子数だと思ってください。
さて、粒子数がどのように書けるのかというと、
N=(ー∞から∞まで)∫D(ε)f(ε)dε
というふうに書けます。
f(ε)は分布関数で、言い換えると、エネルギーがεである平均粒子数とも言えます。
上の積分からD(ε)を外したものが何を表すかというと、エネルギーに縮退がない場合の粒子数を考えていることになります。
なぜなら、D(ε)を外して考えるということは、別の視点から考えると、D(ε)を1とした時の粒子数と言えるからです。D(ε)が1ということは、一つのエネルギーに一つの状態(だけ)が存在するということです。
しかし、縮退がある場合は一つのエネルギーに複数の状態が存在することになります。
そうすると、粒子の数を勘定するのにD(ε)も含めて積分する必要があります。
具体的に書くと、あるエネルギーで2重に縮退してる場合、そのエネルギーに存在する粒子数は、分布関数に状態密度を掛けた数になります。
もっと言うと、絶対温度でのFD粒子の場合、フェルミエネルギー(フェルミ縮退しているときの粒子がもつ最大のエネルギー、これを境に分布関数の値は0、1に分かれる)より内側の状態はすべて占有されていますが、エネルギーに2重の縮退があった場合には、そのエネルギーに存在する粒子は2倍になります。
(補足ですが、FD粒子では一つの状態には一つの粒子しか入れません)
この例では2重に縮退しているというのが状態密度に対応しているというわけです。
うまく説明できたかわかりませんが、理解できましたでしょうか?
後半をまとめると、粒子数を正しく勘定するには、分布関数と状態密度の関数を全エネルギーの範囲で積分する必要がある、ということです。
状態密度が何なのかをイメージするのに役立つ式だと思います。
まだまだ、まとめたいことがたくさんあるのですが、今日はこれまで。
次は、たぶんゾンマーフェルト展開を使って自由電子気体の計算をするときの考え方をまとめたいと思っています。
他の内容になる可能性もありますが、