本、絵画、映画と戯れる日々を

本や映画など何かしら作品の感想を書いていきます。

Loving Vincent (ゴッホ ~最後の手紙~)

ゴッホ~最後の手紙~を見たので自分の感じたことを書いていこうと思います。

話が映画からずれるところもありますが、ご了承ください。

 

この映画の存在を知った時からこれは見たい!と思っていました。きっと素晴らしい映画に違いないと(笑)!

上映期間やら自分の都合やらでなかなか見に行けなかったのですが、やっと映画館に足を運ぶことができました。良かったです!

時間のない方はぜひ、「最後に」の部分だけでも読んでくれると嬉しいです。

 

あらすじ

少しだけ、ストーリーを書いておきましょう。内容を知りたくない方は次の段落を飛ばしてください。ただ、僕が思うに、メインはここには書いていないつもりです。主な時系列をまとめました程度です。

 

 

主な舞台はゴッホがなくなって一年後のことだったと思います。ゴッホが弟に向けて何通もの手紙を書いていたそうですが、その手紙を配達していた人の息子が主人公という設定です。亡くなったゴッホが弟に向けて書いた手紙が見つかり、それを父に頼まれて主人公が弟へ届けに行くという話です。その中で、いろんな人から、いろんな角度で話を聞き、ゴッホの死について考えをめぐらしていきます。最終的に手紙は弟の妻へ届けられたところで終わります。

 

感想

この映画のすごいところは、100人以上の画家が油絵を何枚もひたすら描いて作り上げたということです。その数なんと65,000枚だそうです。前代未聞の映画ではないですか?!相当な時間と労力とお金と掛かったことでしょう。この映画をこのタイミングで見れたことは幸運だと思います。(このタイミングとは美術鑑賞が好きになって間もない時期と思ってください)

しかも、ゴッホのタッチを再現して描いています。世界中から一流の画家が集まってこの作品を作り上げたのです。これを見に行かないでどうするのか!と僕自身は思います。それは、僕が最近、美術鑑賞を好きになったからですが、そうでない人もきっと見に行く価値はあると思います。

美術作品を見るにあたって、僕は少しくらいは知識を持って見たほうが良いと感じるタイプです。この映画を見る前にも、この映画のためだけではないですが、ゴッホの本を少し読んでいました。やはり、ゴッホがどういう人生を送ってきたのか知っているほうが楽しく見れると思いました。ただ、個人の感覚によると思うので、美術鑑賞は自分の好きなように見ればそれでよいと思います。ただ、いろんな楽しみ方があるんだろうと思うので、自分の考えだけではなく、別の楽しみ方を見つけたらそれも試したいなと思いますね。

 

さて、映画を鑑賞中、知っている絵が出てくるたびに、心の中で「おぉー!」と叫んでいました!映画でゴッホの絵をこんなに見ることができるなんて幸せだなぁと思います。ゴッホの絵を見ると、ただ感動するだけではなく、彼がどんな状況でどんな思いで描いていたのかと想像せざるを得ません。ついついそこまで考えてしまうのですよね。そうさせてしまうことが彼の作品の魅力のひとつであると思いますが・・・

僕のゴッホの捉え方は、性格に難があるにせよ画家としては立派だったと思います。何をえらそうなこと言ってやがる!という感じですね、すみません。ただ、変人だったからあんな絵が描けたというようには思えません。全くの個人的な捉え方です。いくら変人であっても、絵を描く技術が素晴らしくなければその絵に価値を見出す人はいないでしょうし、ましてや世界中で誰もが知る有名な画家にはなれないでしょう。絵に対して、真剣に、真面目に、そして強い野望をもって取り組んでいたはずです。それが、人として立派かというと話は別で、何とも言えません。一般論としてですが、何かある方面で卓越した能力を持っていることと、その人が立派な人間であることは必ずしも一致しないでしょう。もちろん、どちらも持ち合わせた人もいるでしょうし、そうでない人もいるでしょう。ただ、ゴッホがこれだけ人に愛される絵を描いたということに僕は尊敬の念を抱きます。

 

そして、ゴッホの絵は、僕にやる気を与えてくれます。より正確には、ゴッホがたった8年の間に尋常じゃない量の絵を描き上げた、それも優れた絵を描いたという事実が、じゃあお前はどうなんだと、僕を急かしているように感じています。もちろん、そのように自問しているということですね。ゴッホのようになろうなんて思っちゃいないですが、天才ではない(ましてや秀才ですらない)僕が、何か成し遂げようと思ったらそれは圧倒的な量をこなす必要があるんだろうなと、ゴッホの絵を見て思うわけです。ちょうど、大学の進路を決める時期でもあるので余計にそう感じてしまいます。体を壊しては元も子もないですが、努力を怠ったら達成できるものもそれ相応のものになるんでしょうね。ゴッホの絵を見てこんなことを思っている時点でだめなんだろうと思いますが、最近はダメダメな心から少し前へ歩き出したのではないかと思っているので、なんとか頑張っていきたいと思います。気づいたら、「おっ、この人も俺みたく頑張ってるやんか!」と感じられるくらい悔いのない日々を送りたいです。

 

 

最後に

ゴッホの映画とは関係ない話になってしまいましたが、話を戻しましょう。ゴッホの死の真相は何なのか、自殺か、他殺か、今となっては真相は闇の中ですが、それが歴史というものなのでしょう。当事者にしか分からない、当事者自身でさえ、全貌が分からないはずです。そこから僕らは何を感じるのか。ゴッホに関しては、彼が残した絵と書簡がすべてを語ってくれているはずです。それがすべてなのです。

映画では、分からないけれども真実を追い求める姿に共感しました。この曖昧模糊とした真相こそが僕を(きっと僕以外にも多くの人を)惹きつけるのでしょう。程よく緊迫感があり、また何よりゴッホの絵を堪能できるという意味で最高の映画でした!

ぜひ、ゴッホ~最後の手紙~ご覧になってください。