本、絵画、映画と戯れる日々を

本や映画など何かしら作品の感想を書いていきます。

美術館巡り

4年の前期発表がもうすぐと迫る中、どうしても外せないなぁと思って、東京と横浜へ行ってきた。一人で旅行は気軽でいいけど、感想を話す相手がいないというデメリットもある。どっちも良さがあり、欠点もあり。でも一人で自由に出かけるっていつでもできるわけではないから、できるうちに旅行すればいいんじゃないかなと今の自分は思う。

今回は、ミケランジェロ展、世界を変えた書物展、モネ〜それからの100年〜、カールラーション展、イグノーベル賞の世界展、計5つの展覧会を回ってきました。

いやー、疲れた。荷物がね、もっとコンパクトにする努力をするべき。務めてそうするべき。なるべくコンパクトなキャリーバッグにした方が絶対良い。そう出ないと荷物が重くてトレーニングしてるみたいになっちゃう笑。それに疲れてると純粋に全力で楽しめなくなっちゃうからね。全力で楽しむの大事。自分の好きなことを語れる人間が強いし、人を惹きつける。

 

 

 

さてさて、まずはミケランジェロ展の感想。

弓を引くクピドの像があって、「あっ、翼がはえてる〜!」と思って、見てみたら意外と厚くて、重量感があるように見えた。翼って薄いイメージがあったけど、どうなんだろう。薄い脆くてすぐに壊れてしまうから仕方なくあれほどの暑さにしたのか。それとも、美的にあれくらい厚い方が良いと思っていたのか。翼って重くても飛べるのかな??天使だから「実際」という話ではないけど、ちょっと翼を持つ生き物が自身の重さとどう向き合って生きているのか気になった。気になっただけで終わるか、もう一歩踏み込んでみるかは、気持ちの問題。

実際問題、翼持った人の姿を表現するのは難しいことだと思った。第一、人間は翼を持たないから、リアリティがない。そこに翼があっても、単なる飾りに見えてしまって、いかにも飛べます!みたいな像を作るのは難しいかもなー。でも、科学的に分析して、こういう形で、これくらいの重さで、...とか考えると、いかにも飛べそうな翼を持った人間の姿が再現できるのではないかと思う。既に誰かやってる人いるかな??

それで、知ってる人にとっては基本中の基本なのかもしれないけど、古代ギリシャの肖像は、個性的な形よりも普遍的な理想像を目指していたらしい。でも、そこに展示されていた作品を見る限り、理想というのは、自分たちの世界における理想像である気がする。でも、それって当たり前のことか。理想の顔も結局西洋人の顔をしていて、日本人のような顔立ちをしたものはないし、そんなの理想でないというのであれば問題ないが、そこまで想像が及ばなかったとなると、やはり考えるだけでは限界があるということになりそうだ。実物がそこに存在するということがいかに強烈なことか。印象に残ることか。そういうことを物語っている気がした。自分たちの周りでは、こういう形が理想だよね。という雰囲気がする。遺伝子的な要素?も含めて、「自分の」美的感覚に基づくしかないのだろうなぁ。遠い世界にいるあの人は何を美しいと思うだろうかは、想像しようとしてもわからない。分かろうとしても、それは直接会って、その人からあれは美しい。なぜなら・・・・だからだ、という話を聞くしかないかもな。

こんなこと書いてるけど、何も知らない上で色々書いてる。勉強のしがいがあるなぁ笑。何も知らない状態で鑑賞できるのって、知った後には2度とできないのでオススメ。一度見たアニメや映画を、記憶を消去してまっさらな状態でもう一度見直すことができないのと一緒。

知らない状態だからこそ感じるものがある。例え、それは勉強してないから、知識が不足しているからということでも、知らないから感じることってあると思うし、知らなかったら後で勉強し直して、その後でまたみれば良い話。

なんで、芸術って美しさを求めるのかなぁ、って思った。生存戦略に必要なのかな?

彫刻の何が美しいかって考えたときに、筋肉などをどう表現するかということもありそうだけど、本質はどんな姿が美しく見えるかという点にある感じがした。足の位置はこうで、腕はこうポーズをとって、顔はこの角度で・・・などだ。直立じゃあダメかなと考えたけど、それは人間味がないのかな。「美」っていう感じがしないかもなぁとは思った。

ポーズとはちょっと違うけど、姿勢って大事だなと感じた。展覧会で展示されるほどのテーマになっているのだから、姿勢一つで人間の魅力も変わるはずだ!これは本当にそう思っている。自分の姿勢は、振り返って見ると、「よく猫背になってるなぁ」ときにすることが多い。なら直せよという話だけど、それをより強く思った。

姿勢一つで人生が変わる!

大げさかなぁ。大げさではない気もするけど。

 

 

 

そうそう、雨が降ってたのに歩くのに苦労するくらい人が溢れていて人混みが苦手な私には少し辛かった。なんで雨なのに人があんなにいたのだろう。しかも金曜日だったのに。開催期間もわずかっていうタイミングだったから多くなってしまったのかもな。あlあ、残念。いや、美術館的には雨の日も繁盛していて嬉しいことか。なら問題なしか。

 

 

 

次は、世界を変えた書物展。

これは正直戸惑った。なぜなら、想像以上に女性がいたからだ。男女で半々くらいだっただろうか?もちろん、いることが悪いとか、そういうことではなくて、物理学科で勉強している私から考えると、そこにいる女子の比率の高さに少々驚きを隠せなかった。だって、マクスウェルの原著を見て喜ぶ要素がどこにあるというのだ!私的には、おー、あのマクスウェルの原著かどれどれ、いや読めないけど笑。みたいな感覚だけれども。こんなことを言ったらマクスウェルにも失礼になってしまうか。オイラーさんの書いた本の原著や、湯川さんの書いた何かの原著などもあった。どうしても見たいという感情も湧き上がらなかったので、さらっと見る程度だったが、まぁそんなもんだろう。見てもよくわからないし。

だが、みなさんが思い思いに原著を覗き込んでいる様子を見るのは非常に面白かった。やはり、原著という要素が人を惹きつけるのだろうか?確かにそれは価値のありそうなものだし、史料として貴重なものでもある。

少し気がかりだったのは、世界を変えた書物に関して、比較的最近(1990以降くらい?)は物理学がその割合を減らしているかな?と感じたことだ。20世紀は相対性理論に、量子力学宇宙論など物理学の枠に収まらないテーマがいくつかあり栄えたが、最近は専門的すぎてなのか、はたまた細分化が進んでなのか、物理学の枠を超えるようなテーマが出てこない気がする。現に私が勉強していることも一般の人に説明するのは無理だ。何やってるのと聞かれても答えられない。正しく伝えることは不可能だ。自分でさえ、これが世の中のこういうところで役に立って・・・などとは言えない。ただ、面白いんだよ、と。そういうしかない。

 

 

 

1日目の最後は横浜美術館だ!建物からして、The 美術館 という雰囲気がガンガンしていた。どこか外国の美術館を真似たんじゃないかなー、あれは。

日本人は印象派が好きな人が多いらしい。私も御多分に洩れず印象派が好きだ。良いよね、なんかさ、光をどう感じるかって考えるとよく分かんないもんね。それを絵で表現しているなんて、ほんと私にはできることじゃないよ。

モネの作品以外にもたくさん作品があり、発想が面白い作品もいくつかあったので楽しかった!アクションペインティングという技法があるらしくて、あの、ただ乱雑に絵の具を殴りつけたような感じのあれ。そういうものを見ると何を描きたいのあなたは。もうあなたが何を考えているか私は全くわからない!って思ってた。今までは。でも今回で少しだけわかった気がした。多分、描きたい対象があるんじゃなくて、色そのものを楽しんでいるんじゃないかと。ここにこの色を使って、こんな感じに塗りたくって、ほら良い感じになったじゃん!って受け取ることにした。また知識が増えたら味方が変わっていくかもだけど、それも楽しみだ。

少し前に本で読んだので知っているのだけど、モネは連作をいくつも製作している。同じ場所でも時間や天候で全く違った景色がそこに広がっている、ということがモネの画家魂に火をつけた。

そんなことも頭にありながらある作品を見ていると、アリから見たワインボトルみたいな絵がありました。そこで私は思った。もしかしたら、同じ時間、同じ天候でも見る生き物によってそこは全く違う景色になっているんじゃないかと。まぁ、そりゃあ当たり前だ。でも、モネの連作はモネから見た風景が描かれている。これをアリから見たら、木の枝にとまる鳥から見たらと思うと想像が広がる私なのでした。しかも、鳥は4つの色を認識できるのだ(私たち人間は3つの色を認識できる)。鳥にはどんな風景が広がるのか、知りたいなー。何か方法はないかなー。

写真、動画を使った作品もいくつかあった。最近では、美術館で水面の揺らぐ様子を鑑賞するようになったのか、と少し複雑な気持ちだ。確かに直接その場に行かずとも水面の様子を見ることができる世の中になったというのは便利だと思う反面、わざわざ足を運んで水面を見ることがなくなったということでもあるのだろう。美術館でその水面の動画作品を見て、最近水面をじっくり、のんびり見ることもなくなったなーと黄昏ていた。私と同じような人も結構多いんじゃないかなー。忙しいんだね、みんな。でも、休日にのんびり水面を眺めるなんて日もあってもいいな。というか、それくらいの気持ちの余裕が欲しいな。

金網を使って空気に色をつけたいという作品や、モネの作品を引用した作品など美術家の発想や努力ってすごいなーと思った。それで食べていくとなると相当な覚悟がないとやっていけないことだと思うし。

 

 

 

2日目の最初はカールラーション展。スウェーデンの美術界を代表する一人だ。家族をテーマにした作品が残っている。そうでないものもあるが、やはり家族をテーマにした作品が印象に残った。すごい幸せそうだった。「明日はクリスマス・イヴ」という作品の子どもたちがすごい可愛かった。妻も元々画家で、カールと結婚してからは、家のインテリアのデザインをしたり、装飾をしたりというところで力を発揮したそうだ。こう、思い出を形にできるってすごい。

スウェーデンからパリに留学支援されるほどの実力の持ち主だった。やはり、優秀な人は、昔から優秀なのだな。印象派や浮世絵の影響を受けているらしく、今回の作品展も日本とスウェーデンの外交150周年の記念で開催されたもののようだ。

水彩画に木炭画にすごい人ってなんでもできるんだなと感心してしまう。絵を見ていると幸せな家族だったんだなーと感じるが、やはりそれは思い出が絵など記録として残っていることも大きく影響していると思う。もちろん文章でも良いだろう。具体的なイベントがあればなおのこと良い。そうすると、なんてことない日常が、かけがえのない場面に生まれ変わる気がする。生まれ変わるというか、本来持っていた価値が浮き上がってくるというか。

日本の紋章のデザインを取り入れたテーブルクロスは洗練されきっていなかったけど、手作り感があって逆によかったかも。そういえば、挿絵を作るという職業もあるんだなと再認識。もちろん今でも小説の表紙に綺麗なイラストが描かれていることもあるので、知らなかったわけではないのだけど。そういうところにも意識を向けて見たいなぁと。それで、自分の好きな人を見つけたいなぁと。

 

 

 

最後は、イグノーベル賞の世界展。こちらも見どころ満載。めっちゃ楽しかった。ただ、誰か友達という人と一緒にこれたらあーじゃない、こーじゃないと話ができて楽しかっただろうなぁーとも思ってしまった。

イグノーベル賞を見て感じたのは、この分野は生物系が強いなということだ。それは身近で面白い話題がたくさんあることによると思う。物理や数額の難しい話題はもちろんノーベル賞でやってくださいってわけだけど。物性物理のこの物質でこういう性質が見つかりました!なんて言ってもだから何?となるわけで。。。だったら、スターウォーズを見るとバッタは興奮するのか?というテーマの方が面白いでしょう??世界中の人がたまごっちを育てるのに費やした時間は、ピラミッドを作るのに費やした時間と比べて遜色ない、なんてくだらないけど、興味深い。そこからわかることがこの先のブーム作りにいかせる可能性もあるかもしれない。(適当)

あとは、人間や生き物の体に関する話題が結構多かったなぁ。

 

 

最後に、今回はいい美術館巡りになったなーと思う。こんなに考えることができたし、そうそう、パン屋さんも巡って、HOKUOというパン屋さんを見つけた。新宿の東口を出て建物沿いに進んだどこかにあった。安いし美味しいし今回巡ったパン屋さんで一番良いお店だったかな。新宿でのパン屋さんは行きつけが見つかってよかった。困ったらここのパン屋さんに行こう。BOUL'ANGE 新宿サザンテラス店 (ブール アンジュ)というお店もクロワッサンの生地が美味しかった。

失敗もあって、ズボンのポケットにカードを入れてはいけないことを学んだ。

tips的な話だが、だいたいの美術館ではキャリーバッグを預かってくれるが、東京ドームシティの中のGallery AaMoは預かってくれる場所がないので、ロッカー代700円を払う必要があった。残念。ただ、思ったより預かってくれる美術館が多いのかもなということはわかったので収穫。

上野から横浜、また横浜から新宿は30分ちょいくらいかかるんだなというのも実感できた。遠くはないけど、すぐそこという感じでもない。(当たり前)

 

さて終わりにしよう。