本、絵画、映画と戯れる日々を

本や映画など何かしら作品の感想を書いていきます。

『ペンギン・ハイウェイ』を観て

アマゾン・プライムで『ペンギンハイウェイ』を視聴。

 

基本的な情報

夜は短し歩けよ乙女』などで有名な森見登美彦さんの作品で2010年5月に角川書店から刊行。

第31回SF大賞受賞作。

2018年にスタジオコロリドによりアニメ映画化。

詳しくは知らないが、2017年の3月にAudibleにて安國愛菜さんによるナレーションがデータ配信されているそうだ。(WIkipedia参照)

 

あらすじ(の練習)

小学4年生のアオヤマ君が住む街に、突然ペンギンの群れが出現するという奇妙な現象が起こる。青山くんはこの謎を解くため調査に乗り出す。ある日、アオヤマ君が通う歯科医院に勤めるおっぱいが大きい”お姉さん”がペンギンを生み出す瞬間を目撃。彼女の正体は一体?そして森に現れた謎の球体をした”海”。彼は果たして謎を解明できるのか!?その結末やいかに!?

 

感想(ネタバレ)

(目標800文字程度)

この物語は”お姉さん”が実は人間ではなかったという所が絶妙であるし、主張したいことのトリガーとなっている。ファンタジーではあるけれど、一定の秩序を保ちつつバランスが取れていたので、作品で起こる出来事を素直に受け入れることができた。

ラストにアオヤマ少年からなされた主張、物語の全てがこの主張のために用意されたのだと感じた。もちろんそれに至るまでにも、印象に残る場面はいくつもあったし、純粋に物語を楽しむこともできた。それを差し引いてなお、この物語の全てがラスト2分に向けて進んでいたのだと思わざるを得ない。

「(略)世界の果てを見ることは悲しいことかもしれない〜」から始まるセリフをぜひ聞いてほしい。この言葉はアオヤマ君が表にこそ出さなかったものの愛してやまなかった”お姉さん”への想いである。そしてこれはとりもなおさず、すでに亡くなった人や疎遠になってしまった大切な人に想いを寄せた言葉そのものである。人が人を想って送る言葉として用いずに、実は人間ではなかった”お姉さん”に向けたメッセージであるところがこの作品の妙であると私は感じた。

そしてもう一つ、やたら理屈っぽい少年である彼が最後に残したこのセリフは、彼の「信念」である。このことにも深い感銘を受けた。大成する人間に必要なことを考えてみると、頭の回転が早いこと、論理的思考力が備わっていること、コミュニケーション能力に長けていることが私の場合はまず頭に浮かぶ。皆さんもこれにはある程度は納得いただけるだろう。しかし、最も大事な要素は彼のいう信念なのではないか。信念があって諦めなければ上述した能力は後から不格好ながらもついてくるのだ。仮に備わらなくとも周りの力を頼ることもできよう。

しかし、悲しいかな、少年は世界の果てを見て”お姉さん”に会えないという事実に辿り着く気がしてならない。もしかすると、少年自身すでに感じていながらも突き進むことしかできないのかもしれない。ただそれが信念というものだ。

 

あとがき

何を偉そうにあとがきなんてと自分で思ったが、しっかりとした文章にまとめただけだとそこに書けなかったけど書きたいこともあるな〜(モヤモヤ)と思ったので、ちゃんとした感想。ダラダラしたあとがき。って構成にしたいと思う。

試しに感想は原稿用紙2枚(800文字)程度で収めてみた。推敲しないと変な文章になっちゃうし、時間はかかるけど真剣に感想を書くというのも良いものだな。感覚としては勝負をしてる感じだ。心が燃えてきて誰よりもいい感想を書いてやる!みたいな。作品を見て思うことは人それぞれだけれど、何を思ったか、感じたかをうまく言葉にしたい!という強い気持ちがふつふつと湧き上がってくる感覚は最高かも。

今思うと小学校の時になんで読書感想文をもっと楽しまなかったんだろうと悔やまれる。当時はそれなりに真面目に取り組んではいたけれど、楽しめたかと言われるとそうでもなかった。今となってはこんなに楽しく感じるのに。不思議ですな。

さて作品の感想に戻ろう。感想ではアオヤマ君のことを理屈っぽいと書いたが、正直なところ周りからどう思われようとこういう少年でありたかった。真剣に人生を楽しんでるって気がする。いやいや笑、と思う人が大半かもしれない。僕が少しひねくれてるのかな笑。

物語とは違う視点では、映像が綺麗だったのが良かった。特に、”海”に飛び込んでからの世界観が素敵だった。一度体験してみたい、飛び込んでみたいよ、あんな世界があるものならば。いや、今の時代作れるぞ、VRの世界へ飛び込めば。

これで最後にしよう。この物語ではやたら「おっぱい」が「直接的に」強調されているが、ここに森見登美彦さんらしさがあるなー笑と思いながら観てました。おしまい。