本、絵画、映画と戯れる日々を

本や映画など何かしら作品の感想を書いていきます。

生きる上で大切にしたいことが見つかる名著『論語と算盤』(6章〜10章要約、感想)

6章 人格と修養 (自分を磨く)
  • 学問と実学、バランスよく身につけること。
  • 極端に偏っては自分を磨くことはできないし、国単位で考えると国は発展しない。
  • 精神、知恵、知識、身体、行い全てを向上させるのが自分磨き

んー、その学問は現実でどのように役立つのか、逆に現実をもっとこうしたいというのがあったらどんな学問を学べば実現できそうか、どちらに取り組むときももう一方のことを意識しながら取り組みなさいということだろうな。このままでは頭でっかちなので、具体例を考よう。例えば、VRって面白そうな技術だし勉強してその仕組みや使い方を知りたい、と思って勉強するだけでは学問だけしか考えていない。現実に落とし込むことを考えると、実際にVRを新人研修で使えるかも知れない、そのためにはこういう機能がほしい、こういうアプリケーションがほしい、という視点が加わる。こういうことを言ってるのだと思っているが、合ってるかな。。。

  • 人格を磨くための方法や工夫は色々あるが、渋沢栄一儒教に志した。「忠信孝弟」。人によっては仏教であろうし、キリスト教である人もいるだろう。

これは自分で見つけるものなのだろう。色々あるので何を軸にするかは悩ましいがやはり現代まで生き残っている古典から見出すのが良いと思っている。まずは渋沢栄一に倣って儒教を柱としようと思う。そのためにこの本を読んでいるのだから。

  • 素晴らしい人格をもとに正義を行い、正しい人生の道を歩み、その結果豊かさや地位などを手に入れること。これが成功なのであり、目的のために手段を選ば図に手に入れた成功は真に成功とは言えない。

この精神が確立している人間が目移りしない人間なのだろう。私は富や名声、地位などに目が行きがちで、その人がどんな人かまで見ないことが多いかもしれない。ここでこの精神を学んでこの人はこういう考えのもと行動してきて今の結果がある。だから尊敬する、と思えるように修養したい。

逆もまた然り。成功しているように見えるが、私の信念とはちょっと違うなと思ったらそういう人もいるのだ、と思えるようにしたい。今の世の中、情報が溢れていて、いろんな価値観が目に飛び込んでくるので、何も持っていないと溺れて流されるだけなのだろう。本当に正しい軸が身についたら、きっと受け入れるべき価値観とそうでない価値観が自分の中で明確になるはずだ。自分の考え方が全てとはならずに、むしろどんどん多様な価値観を受け入れるようになるのだと思う。

 

7章 算盤と権利
  • キリスト教「自分がしてほしいことを人にもしなさい」
  • 孔子「自分がして欲しくないことは他人にもしない」

結局言ってることは同じだけど、表し方が真逆というのが面白い。

  • 孔子は奇跡が一つもない点で信頼できる。キリストには奇跡がたくさんある。

人間の守る道としては上記の理由から孔子の教えの方が良いと渋沢栄一は思っているようだ。出ないと迷信に陥ってしまうのではなかろうかと述べている。渋沢栄一の中では教えの中に奇跡がないことがその教えを信頼することにつながっていたのだな。人の能力を超えたエピソードが宗教に必要なのもわかるが、一方で現実的に信頼するという観点からは儒教のような実学よりのものが良いのかも知れない。

  • 富める者と貧しい者がいるのは国を豊かにすることを考えると自然な成り行き。両者が思いやりの心を持って接することで同じ方向を向いていける。

資本家と労働者の関係は、法よりも思いやりの心で結ばれると良いという話をしているが、私の感覚だと法というものが前提にありながら両者で思いやりの心を育んでいくというスタイルが合っているように思う。合ってるかわからないけど。。。

  • 一個人の利益になる仕事よりも、多くの人や社会全体の利益になる仕事をすべきだ

事業を行う上で渋沢栄一が見識としてきたもの。

  • 書物を著したとしても、それを多数の人が読むようなものでなければ効果が薄い。著者は常に自分のことよりも、国家社会を利するという考え方で筆を取らなければならない

福沢諭吉の言葉を引用していた。耳が痛い。。。このブログも国家まではいかずとも、読んだ人が利益となるような文章を書いていけるように頑張りたい。

 

8章 実業と士道 
  • 正義、廉直、義侠、敢為、礼譲

これら武士道はよき習わしを足していったもの
これは商業でも同じはずであるが、江戸時代の悪い名残が取れず道徳観を持たないままの人が多い。(利益に走りがち)

  • 外国の模倣ばかりを盲目的に行うのは良くない。

何が良いかは国によって異なるのだから。ただ、今のグローバル化を考えると世界に照準を合わせつつ、その上で日本の武器は何かを考えるという感じが良いのだろう。

  • 「信用」こそ全ての元。商業道徳の要。

江戸の時代がそうで合ったように、最初の代の人が正しいものを理解して実行していても、代を重ねるにつれ質が低下し、だんだんと形骸化していく、道徳がなくなっていくのだな。きっと今の時代も同じだ。

 

9章 教育と情誼
  • 孝行は親ができる環境をつくる。子供にさせるというスタンスはいけない。

当時の教育は(現代はなおさら)知識ばかりで道徳が身につかない。国が変えない限り、自分で気づくか周りがそれに気づく環境を作らなければならない。
女性の教育は今日も継続して叫ばれている。教育という意味では比較的改善されてきたと思うが、社会での地位獲得は世界と比べてまだまだ。改善の余地あり。

 

10章 成敗と運命
  • 仕事の中に楽しみと喜びを見つける。

そして仕事内容の充実を図る。形式も疎かにしてはならない。これができない人もいるが、どんな人にも憐れみの情、良心、思いやりの心を持って接すること。

世の中うまくいく人うまくいかない人がいる。これは

  • 人事を尽くして天命を待つのみである。

逆境、順境、という言葉は本来はないと思っていい。現在の状況は自分が取り組んできた結果として現れているのである。ただ、本当に立派で努力家で道徳心も持っていてもうまく行かない人もいる。この場合にだけ逆境という言葉を使う。

  • 細心にして大胆であれ

成功、失敗という軸で生きるな。誠実に努力し続けろ。成功や失敗は、ことをなした結果ついてくるカスのようなもの。本質を見ろ。