本、絵画、映画と戯れる日々を

本や映画など何かしら作品の感想を書いていきます。

行動を起こす言い訳をくれる一冊『嫌われる勇気』(第三夜〜第五夜)

前回に引き続き『嫌われる勇気』の要約をしていく。

感想 

第三夜

他者から承認を求めるという行為は他者の期待を満たすことになる。他者の評価ばかりを気にしていると他者の人生を送ることになってしまう。それは本当の自分を捨てることにつながる。それでは他者のことなど考えずに自分勝手に振る舞えばいいのかというとそうではない。ここで「課題の分離」という考え方が登場する。

  • 課題の分離とは、目の前にやるべきことがあった時、それは誰の課題なのかを見極めることである。自分の課題か、他者の課題か。

例えば、子供の宿題は子供の課題であって親の課題ではない。他にもカウンセラーの課題は相談に来た人の相談に乗り、解決策を提案することである。実際に解決するのは相談に来た本人の課題である。

  • それをすることでもたらされる最終的な結末が誰に寄与するのか

これを考えることで誰の課題か判別可能である。宿題をして知識を得るのは子供だし、相談内容を解決することで恩恵を得るのはカウンセラーでなく相談した人間である。

そして、課題が見極められたら次に意識することは

  • 他者の課題には踏み込まないこと

である。

  • 馬を水辺に連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない。

という言葉にあるように、他者にできるのは何かができる環境を整えてあげることだけである。実際に行動を起こせるのは本人だけ。

宿題の話も本人に勉強をさせることはできなくて、勉強できる環境を整えることだけしかできない。

  • 自分を変えることができるのは自分だけ。
  • 他者の課題は切り捨てる。

相手を信じること自分の課題。信じた相手がどう行動するかは他者の課題。つまり、相手の行動は自分にはどうしようもないので切り捨てる。

他者の課題までも背負ってしまうと自らの人生を重く苦しいものにしてしまう。

  • 人からも嫌われたくない→自分に嘘をついて、周囲の人に対しても嘘をつく人生になる。
  • 自由とは他者から嫌われることである。
  • 自分の生き方を貫くため、自由になるためには他者からの評価を気にしない、他者から嫌われることを恐れない勇気が必要。

ここで「嫌われる勇気」というキーワードが登場。

  • 対人関係のカードは常に自分が持っている。

相手がどう思っていようが関係ない。自分が〇〇したいから相手に〇〇というアクションを起こす。これで変わったのは自分だけ。相手がどういう反応を見せるかは自分の知ったところではない。ただし、自分が行動を変えることで相手も変わらざるを得ない場合が多い。

 

第四夜

課題の分離は対人関係の出発点。相手とどう接するかを考える際にまず最初にするべきことが課題の分離である。

では対人関係のゴールは何なのか?一言で表すと

  • 共同体感覚

となる。

  • 共同体感覚とは他者を仲間とみなし、そこに自分の居場所があると感じられること。

わかりやすい例では、学校、会社、何かの団体、国、人類など。もっと広く生物、宇宙、時間軸を超えて過去から未来を含むすべてもそこに含まれると言っている。

まあ、ここはわかりやすいところから考えればいいんじゃなかろうか。

  • 自分の居場所、いわば所属感というものはただ共同体に属しているだけでは得ることはできない。自分から獲得していく。獲得するために、自分が相手に何を与えることができるかを考え、実際に与えることが大切。

もし自分が世界の中心にいる、例えば物語の主人公であれば、自分から動かずとも相手が自分に何でも与えてくれる。しかし、世界の中心にいるわけではなく、その世界の一部でしかない。相手は自分のために動いてくれるわけではない。そこで、自分に執着するのではなく相手に関心を寄せることが必要。

これは相手の顔色を伺うことではない。

相手に関心を寄せることも同じようなことかもしれない。

両者とも所属感を得るという目的は同じであるが、一方で明確な区別がある。

それは、自由に生きているか、そうでないかである。もちろん相手に関心を寄せる方が自由に生きていける。

相手の顔色を伺うことは結局自分のことしか考えていないので相手に関心を寄せていないことになる。そのため相手に何か与えることができず所属感を得ることができない。

  • 対人関係の中で困難にぶつかった時は、より大きな共同体の声を聞け。

目の前の小さな共同体に必要以上に縛られる必要はない。困った時は、もっと広い共同体を思い浮かべてその中でどう動いたらいいのか考えること。

自分の属している共同体は、何も学校だけではない、もっと広く地域社会に属しているし、日本社会に属している。もし学校に居場所がなければ転校だって、退学だって目を向ければ我慢する以外にも選択肢はある。紙切れ一枚で関係が切れる共同体があれば、所詮その程度の関係なのだと吹っ切れるだろう。

  • 叱ってはいけないし、褒めてもいけない

どちらも上から下の立場への行為。人がそれぞれ違うのはそれが優劣によるものではなく、単に役割が違うだけ。「同じではないけれど対等」、「横の関係」になるべき。

  • やるべきことは「馬を水辺に連れていくこと」。

そして

  • 感謝を伝えること。

人は感謝の言葉を聞いた時他者に貢献できたことを知る。そのことから自分に価値があると思うことができ、生きる勇気につながる。

  • 横の関係を築くためには、意識の上で対等であること、主張すべき意見は堂々と主張することが大事。

 

第五夜

自分ひとりで部屋にいる時はありのままの自分でいられるはず。問題は人前に出るとそうでいられなくなるということ。

これを克服するために、共同体感覚が必要。

共同体感覚を持つために必要なことが3つ。

  • 「自己受容」、「他者信頼」、「他者貢献」

自己肯定ではなく自己受容。

  • できない自分もありのまま受け入れて、それを理想に近づけることを考えるまでが自己受容。

変えられることとそうでないことを見極めて変えることができることを変える勇気を持つ。

ここでは信用と信頼を次のように区別する。

信用は他者を信じる時担保が必要とする。信頼は他者を信じるとき一切の条件を必要としない。

アドラーは他者信用ではなく、他者信頼が必要だと言っている。無条件に人を信じるのはお人好しかもしれないが、相手が裏切るか裏切らないかは相手の課題。

道徳的観点から相手を無条件に信じることを勧めているのではなく、

  • 相手と横の関係を築くための手段として信頼するという武器を使え

と言っている。信頼した結果ダメなら、そこの関係は断ち切れば良いだけの話。ダメでもずっと信頼しろと言っているわけではない。

  • 他者貢献とは最終的には私の価値を実感するためにこそなされるもの

相手のために自分を犠牲にする必要はない。

  • 他者貢献は目に見えるものでなくても良い。

自分の行為が相手に貢献できているかを判断することは相手の課題なので、なんなら

  • 貢献感を持てればそれで良い。

そうすれば幸せを感じることができる。

  • 普通であることの勇気を持つ

特別であろうとするのは普通である自分を受け入れられないから。普通であることは無能であることではないので、そこを間違えないこと。わざわざ特別である必要はない。

  • 人生は線ではなく、点の連続。今この瞬間しか生きることができない

人生を山登りに例えると、目的は登頂ではなく登山そのもの。登頂できるかどうかは関係ない。過程のさきに結果があるのではなくて、過程そのものが常に結果になっているというような感じ。

登頂に意味がないというのではなくて、今できることを真剣に全力で取り組むということ。登頂するまでにどんな準備が必要でどんなルートをとるのか考える段階から全力で取り組むことが大事だと言っている。

  • 人生は常に完結している。

20歳でなくなろうと90歳でなくなろうと、終わったところが完結点である。

  • 一般的な人生の意味はない。人生の意味は自分自身が己に与えるもの。
  • 迷った時の道しるべは他者貢献にある。

 

 

最後に

ざっとまとめてみて、点としてはわかったことはあっても、それが全て一つの理論としてつながるまで理解はできていないことがよく分かった。。。まあ、一つの理論体系を数回読んだだけで理解するのは無理ゲーだな。実際に行動してみて、「あっ、こういうことを言ってたのか!」と実感する方が良さそう。

ただ一番主張したいことは、自由に生きろということ

そのために嫌われれ勇気を持て。そして、目的論で考えろ。ということ。

悩みの種は全て対人関係で、対人関係を考える時、スタートに課題の分離があって、自分の課題だけを考えろと。

そしてゴールには共同体感覚がある。共同体感覚を持つために、「自己受容」、「他者信頼」、「他者貢献」が必要である。

貢献感があれば幸せを感じることができる。

こんな感じだろうか。

 

最後の最後に、要するにこの本は「行動を起こすための言い訳」をくれたということだと思っている。

ついでにどういう風に行動すればいいのかも紹介してあげる!くらいの認識で今の所捉えている。ただ、そのついでがとてもためになったという感じ。